デバイス
送信信号
基板パターン
終端
解析
測定値(受信端)
ドライバの I-V 特性
横軸はパッド電圧、縦軸はパッドから外部へ流れ出す電流です。傾きの逆数が実効出力抵抗にあたります。
このシミュレータの中身と限界
回路モデル
送信ダイ(C_comp と I-V テーブル)→ パッケージ(R_pkg + L_pkg 直列、C_pkg 対地)→ 送信側直列抵抗 → 伝送線路 → 終端 → 受信パッケージ → 受信ダイ(C_comp とクランプ)という一次元の回路を組み、 全節点について節点方程式を立てて解いています。
数値解法
- 時間積分:後退オイラー(無条件安定、固定ステップ)
- 非線形素子:Newton-Raphson 法。I-V テーブルは区分線形補間し、その傾きをヤコビアンに使用
- 伝送線路:Branin(特性線)法による無損失遅延線。往復波を履歴バッファに保持し、 遅延が時間刻みの整数倍でない分は線形補間
- 直流損失:線路を複数区間に分割し、区間の間に直列抵抗を挿入
- 初期値:直流動作点を Newton 法で解き、容量電圧・インダクタ電流・線路の進行波を初期化
IBIS のどこを使っているか
| キーワード | 使い方 |
|---|---|
[Pullup] / [Pulldown] | ドライバの非線形 I-V。Ku(t)/Kd(t) で重み付けして合成 |
[POWER_Clamp] / [GND_Clamp] | ESDクランプ。オーバー/アンダーシュートの制限に効く |
[Ramp] | 20〜80% の dV/dt から遷移時間 = dt / 0.6 を求め、Ku/Kd を直線的に変化させる |
[Rising/Falling Waveform] | あれば、フィクスチャ負荷から Ku(t) を逆算して [Ramp] より現実的な遷移形状にする |
C_comp | ダイ容量 |
[Package] / [Pin] | R_pkg・L_pkg・C_pkg(またはピン別の値) |
[Diff_pin] | 差動ペアの相方・差動しきい値 vdiff・P/N スキュー tdelay |
[Voltage Range] ほか | 電源電圧、各テーブルの基準電圧 |
Vinh / Vinl / Vmeas | 受信しきい値判定と伝搬遅延の基準 |
差動モード
[Diff_pin] を持つモデルでは「差動ペア」を選べます。P 側と N 側に同じ
[Model] を割り当て、相補的な Ku/Kd で駆動する 2 本のレーンを立てて、
両方を 1 つの回路として同時に解きます。表示している Vod は P − N、
Vos は (P + N) / 2 です。
- 線路は奇モードインピーダンス Zdiff/2 の独立した 2 本として扱います。 線間の結合そのものは解いていないため、差動モードは妥当ですが、 コモンモードのインピーダンスは実際より単純になります。
- 終端は線間 1 本(LVDS の 100Ω)、分割終端(R/2 ×2 と中点コンデンサ)、各線を GND / Vtt へ、から選べます。
- P/N スキューを入れると、差動成分の一部がコモンモードに変換される様子が見られます。
[Diff_pin]のtdelayがあれば初期値として読み込みます。 - 論理しきい値は
[Diff_pin]のvdiff(|Vod| がこれを超えるか)で判定します。 単線用のVinh/Vinlは差動モードでは使いません。 - 電流モード駆動(LVDS など)のモデルでは、Vod は合っても Vos(コモンモード電圧)が
データシートと合わないことがあります。IBIS の
[Pullup]/[Pulldown]は 片線ずつの表なので、内部のコモンモード帰還までは表現できないためです。 ここで出る Vos は「そのモデルが言っている値」であって、デバイスの実力値ではありません。
割り切っている点
- Ku + Kd = 1 を仮定した1波形法です。2波形法(立ち上がり・立ち下がりの両方から Ku, Kd を独立に解く)ではありません。
- [Ramp] しか無いモデルでは Ku/Kd が直線変化になるため、実際の丸まったエッジよりわずかに角張ります。
- 伝送線路は無損失+直流抵抗のみです。表皮効果・誘電体損失・分散は含みません。長距離・数Gbps帯では実際より波形がきれいに出ます。
- クロストーク、電源/グラウンドバウンス(SSO)、非対称なリターンパスは扱いません。
- [Driver Schedule]、[Submodel]、[External Model](IBIS-AMI)には対応していません。
- 差動ペアは 2 本の独立した線路として解いており、線間結合・差動クロストークは含みません。
- 電源電圧は理想電圧源として扱います。
反射・リンギング・終端方式の効き方といった傾向をつかむ用途を想定しています。 出荷判定や規格適合の確認には、ベンダ純正の SI ツールを使ってください。
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